相続した市街化区域内の広い土地について、相続税評価額を減額できる方法はありますか?
先日、父が亡くなり、私と母が父の財産を相続しました。父名義の自宅(実家)の土地面積は800uと広いため、相続税が高くなるのではないかと心配しています。知人から、土地面積が広ければそれだけ相続税評価額は高くなるが、一方で広い土地の場合には、相続税評価額を減額できる方法もあると聞きました。そのような方法はあるのでしょうか。
「地積規模の大きな宅地の評価」という評価方法を適用できれば、相続財産としての評価額を抑えることが可能となります。
「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象となる宅地の評価額は、たとえば路線価地域の場合であれば、以下の算式で計算されます。
この評価は、大きな土地を複数の区画に分け、戸建用地として開発分譲することを想定しているため、土地面積が大きいことで生ずる価値の減少(減価)を評価額に反映させる手法で、上記の算式の規模格差補正率に織り込まれています。
なお、減価の要因となる主だったものとして、敷地内に設ける道路部分や上下水道等の整備費用等が挙げられます。
戸建用地を想定した宅地であることから、路線価地域においては、普通商業・併用住宅地域及び普通住宅地域に所在するものが適用対象となっています。
地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏に該当する地域)においては500u以上、それ以外の地域では1,000u以上の地積の宅地をいいます。なお、次の(1)〜(4)のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。
(1)市街化調整区域に所在する宅地(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除く)
(2)都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
(3)指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
(4)財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地
今回ご相談の対象地が、三大都市圏の市街化区域に所在し、かつ、上記(1)〜(4)のいずれにも該当しないのであれば、「地積規模の大きな宅地の評価」の評価手法を適用して、土地の評価額を下げることが可能となります。
評価手法の適用にあたっては、規模格差補正の他、間口や奥行等の土地の形状、道路との接道状況、高低差や斜面等の有無、といった土地各々の個別的要因による減価補正も行われることから、専門的な知識に基づく煩雑な計算処理が求められます。
また、適用する各係数等によって減額幅も変動しますので、ご注意ください。
「地積規模の大きな宅地の評価」についてご不明な点は、当事務所へお気軽にお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「No.4609 地積規模の大きな宅地の評価」
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